はじめてのセミナーシリーズ。第1回は「スライド制作編」をお送りします。
スライドを作成するテクニックではなく、基本的な考え方を説明していきますので、セミナー初心者の方は参考にして頂ければと思います。
言葉で説明しにくい点を補うのがスライド
まず知っておいて頂きたい基本は、「スライドとセミナーでの説明はセットになっている」ということです。
片方だけ立派でも、もう一方がダメだとセミナー全体としては不十分です。
ではスライドの役割とは何でしょうか。
それは二つあります。
1)口頭では説明できないことを視覚的に伝える
2)あなたが強調したい点をさらに印象づける
まず1)口頭では説明できないことを視覚的に伝える から説明しましょう。
当たり前ですが、言葉でクドクド説明するよりグラフや写真を見せた方がいい場合は、スライドの方が効果的です。
さらに言えば、そうしたビジュアルでないと伝わらないものこそスライドにしないといけません。
逆に視覚的に伝えにくいもの、口頭でも伝わることはスライドに掲載する必要はありません。
よくスライドの画面いっぱいにミッチリ文章を詰め込んでいる人がいますが、これは明らかにNGです。
強調したい点はスライド+口頭で
次に2)の説明をしましょう。
スライドと口頭説明を分ける話をしましたが、特に強調したい場合はその限りではありません。
「ここはスライドにも記載されてますが、強調したいので口頭でも説明しますね」と言ってあげると、聞いている人は「大事なんだな」と思ってくれます。
同様の理由から、聞いている人にとっては難しい可能性がある箇所も「スライド+口頭」で説明するようにしましょう。
ここまで読んでもらえると、「この部分はスライドだけで大丈夫かな」とか「スライドでも強調表示しよう」というふうに重み付けが見えてくるのではないでしょうか。
とにかく何でもかんでもスライドに入れるのではなく、こうした原則に則って入れるものを選ぶことが大切です。
何でもスライドに入れると
1)スクリーンの文字が小さくなり見えない
2)それを補足しようと聞いている人が手元の資料を読もうとする
こういう事態になります。
そうなると、あなたはただ一方的に話しているだけの人になります。
スライドはプリントして配布すべし
これは必ずやりましょう。
私は、停電してもセミナーが出来るようにして臨むことにしています。
実際には停電になればPCは動かず、Wifiもダメになるかもしれません。PCの操作方法を学んだり制作する授業だと確かに実施は難しいでしょう。
しかし、一般的なセミナーなら問題ないはず。
スライドをプリントしておけば、それを見ながらセミナーはできます。
ということは、印刷することを前提にスライドは作らないといけないということです。
印刷を前提にしたスライド作成のポイントは二つです。
1)背景は必ず白
2)グレースケール(白黒)印刷でも大丈夫なように作る
背景に色や画像があると、読みにくいです。
PC上で作っている時は感じなくても、印刷すると印象は変わるもの。
参加者が余白にメモを書き込んだりすることを考えても、背景は白が鉄則です。
同様にグレースケールで印刷しても大丈夫なものにしましょう。
「カラーじゃないとグラフの線の区別がつかない」なんてのは間抜けです。
印刷は自分でするのかもしれませんが、部数が足りず急遽グレースケール印刷することもありました。
グレースケール印刷でも読めるか、試し印刷をして確認するようにしてください。
こうしたことは、いずれも細かいことです。
でも、その「細かいこと」によって参加者は主催者の能力を推し量るものです。
シミュレーションは絶対にやる
パワポやキーノートを使ってスライドができました。
しかし、ここで終わりではありません。
そのスライドのプリントを見ながら、実際にセミナーのシミュレーションをやって下さい。
それをすることで、次のことが分かります。
1)スライドにすべきなのに入っていないものや、逆に余分なものが分かる
2)全体の分量と時間配分との関係が分かる
3)誤字脱字が分かる
こうした点を修正し、再度シミュレーションをやってようやく完成です。
スライドはあなたと参加者をつなぐものです。スライドがしっかり作られ、それに沿ってあなたが分かりやすく説明する。
これが信頼感を醸成し、クロージングへとつながることをお忘れなく。
細かいこといろいろ
私の20年の経験から、スライドの完成度を上げるために注意すべき点をさらに加えておきますね。
1)配布するスライドと画面に出る物は同じでなくてはいけない
当たり前ですが、印刷した後にスライドデータを修正したりすると、普通にありえる事故です。
大したことないと思わないで下さい。これで結構信頼無くします。
どうしても印刷する方に入れられないもの(私だとクライアント仕事の実例データなど)がある場合は、そのスライドを映す時に「これは印刷できないものなので、お手元のプリントにはありませんが。。」と必ず言って下さい。
それを忘れてしまうと、聞いている人は不安になってしまいます。
2)スライドを否定しない
時々「このスライドのここは間違ってるんですが・・」みたいなことを言う人がいます。
聞いている人は「だったら最初から入れなければいいのに」と思います。
自分でスライドを作っていないのがバレバレだし、人ごとみたいに言われても釈然としません。
スライドに間違いがあり、訂正したいなら自分のミスとして聞いている人に謝って下さい。
修正の必要が無いなら、むやみにスライドを否定しないことが大切です。
3)印刷したスライドは丁寧に扱う
参加したセミナーの配布物が少し折れていたり、シワがあったらどうでしょう。
私ならそれだけで帰りたくなります。
印刷したスライドは信頼関係を維持するものなので、そういうことが無いように丁寧に扱いましょう。
あなたが丁寧に扱っても、配布する人が雑に扱うと上のようなことが起こります。
関係する人に配布物を丁寧に扱うよう言っておくことが大切です。
それと配布する印刷物(スライド)を事前に机に置いておく場合は、机に対して斜めにならないようにしましょう。
「神は細部に宿る」と言います。
あなたがきちんとした対応をすれば、お客様は必ずそれに気付いてくれます。
4)ノンブルは大きく
パワポでスライドを作るとありがちなんですが、ノンブル(ページ番号)がすごく小さい場合があります。
「5ページの図をご覧ください」と言われても、どれが5ページなのか分からない。
そういうケースも見てきましたし、私も失敗したことがあります。
5)プロジェクターは事前に確かめたい
これは難しい場合もあるし、そもそもプロジェクターを使わないこともあります。
そういう場合は構わないのですが、可能な限りプロジェクターを事前にチェックするようにしましょう。
会場に行ってみると映りが悪かったり、思ったより小さくしか投影できないことがあるものです。
これだと、せっかく作ったスライドが台無しです。
あと確認するものとしては
1)リモコンにポインタの機能があるか
2)リモコンにミュート(静止状態にすること)の機能があるか
3)外部機器の接続インターフェース(自分のPCを接続するために)
などがあります。
セミナー開催場が遠い場合は、担当の人に電話やメールで確認しましょう。
最後に
いろいろ細かい話になりました。
「そんなことよりパワポの使い方知りたかった」という方もいるかもしれません。
でも、より本質的なことを知って欲しいと思って小言のようなことを書きました。
スライド制作は単に説明資料を作るだけでなく、自分の考えや想いを整理し、確かなものにするステップでもあると思っています。
よくできたスライドは私たちに自信を与えてくれます。
素晴らしいスライドができて、あなたのセミナーが成功することを祈っています。
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